2026年7月1日の柔整療養費改定について、「初検料が上がる」「多部位は2部位目から減算になる」といった変更点は、すでに耳にしている院長先生も多いと思います。
ただ、変更点の暗記だけでは、次の改定が来たときにまた振り回されてしまいます。
大切なのは「なぜ、こういう改定になったのか」という背景を理解すること。
背景がわかれば、制度がこれからどこに向かうのかが見え、自院がどう構えればいいのかも自然と決まってきます。
この記事では、改定の背景と厚生労働省が目指している方向を整理したうえで、私たち吉田企画が26年間お伝えしてきた「農耕型経営」と、これから選ばれる院の特徴についてお話しします。
煽るための記事ではありません。
安心して読み進めてください。
この記事の内容は、動画でも解説しています。あわせてご覧ください。
柔整療養費改定の背景にあるもの
まず前提として、柔道整復師の療養費は、患者様の窓口負担と健康保険から支払われる、いわば「公的なお金」です。
財源には限りがあり、国は常に「この支出が、本当に必要な施術に、適正に使われているか」を見ています。
近年の改定が一貫して向かっているのは、「必要な施術はきちんと評価し、説明のつきにくい請求は抑える」という方向です。
今回も、その流れの中にあります。
実際、今回の改定では基本料金(初検料1,560円、後療料550円など)はむしろ引き上げられました。
これは「丁寧な施術そのものは正当に評価する」という国のメッセージと読めます。
その一方で、部位数や通院の長期化に関わる部分には、これまでより踏み込んだ見直しが入りました。
柔整療養費改定で多部位・長期患者対応が見直された理由
今回の改定で特に手が入ったのが、多部位と長期患者対応の2点です。なぜここが見直されたのか、整理してみましょう。
多部位:2部位目から逓減へ
これまで多部位の逓減は3部位目からでした。
しかし改定後は、2部位目から80%、3部位目は60%で算定します。
背景にあるのは、「本当に複数の部位を同時に施術する必要があったのか」という問いです。
なぜなら、負傷原因がはっきりしないまま部位数を積み上げる運用は、財源の使い方として説明がつきにくいからです。
つまり、こうした見方が逓減の前倒しにつながっています。
長期患者対応:12か月・8か月・9部位の目安
もう一つが長期です。
2027年1月からは、新しい確認の仕組みが加わります。
具体的には、「直近12か月で通算8か月以上かつ累積9部位以上」に当てはまる患者様へ、確認の通知が送られます。
これも考え方は同じです。
たとえば「急性のケガに対する施術」という療養費の趣旨に照らすと、長期・多部位が続くケースは、その必要性を説明できるようにしておきたい、ということです。
ここで誤解してほしくないのは、「長く通ってもらうこと」「複数部位をみること」自体が悪いわけではない、という点です。
問われているのは、負傷原因がはっきりしていて、患者様にきちんと説明でき、カルテに記録が残っているか。
つまり「説明できる施術かどうか」が、これまで以上に大切になったということです。
柔整療養費改定で厚生労働省が目指す方向
背景を踏まえると、今回の柔整療養費改定で国が目指している方向は、次の三つに集約できます。
必要な施術は正当に評価する
(基本料金の引き上げ、再検料の2回化)
説明のつきにくい請求は抑える
(多部位の逓減強化、長期・多部位の確認)
患者様への透明性を高める
(明細書の毎回交付を原則化)
とりわけ、明細書を会計のたびにお渡しする運用への変更は象徴的です。
なぜなら「何の施術に、いくらかかったのか」を患者様が毎回確認できるからです。
つまりこれは、患者様への説明の重要性を制度として後押しするものです。
まとめると、国が向かっているのは「場当たり的な施術から、説明と信頼に基づく施術へ」という方向です。
そしてこれは、私たちが長年お伝えしてきたことと、見事に重なります。
「説明できる整骨院」というテーマは、こちらの記事でもくわしくお伝えしています。
👉 【2026年7月の整骨院経営戦略】保険改定の時代に、“説明できる整骨院”へ
吉田企画が考える「農耕型経営」
私たち吉田企画は、創業以来25年間、「農耕型経営」という考え方を一貫して大切にしてきました。
農耕型経営とは、畑を耕し、種をまくように、患者様一人ひとりとの信頼関係を育てていく経営です。
たとえば、すぐに売上を刈り取る「狩猟型」とは対照的な考え方です。
だからこそ、目の前の患者様の人生に寄り添います。
そして、長くお付き合いすることを大切にします。
だからこそ、私たちは回数券や会員制に依存する経営をおすすめしてきませんでした。
回数券は一見、売上を前倒しできて魅力的に見えます。
しかし、券が終われば来院が途切れやすくなります。
さらに、押し売り感は患者様の不安を生みます。
そのうえ、集患コストもかかり続けます。
これは、今回国が見直そうとしている「説明のつきにくい運用」と、根っこでつながっています。
反対に、都度払いを軸に、一回一回の施術で信頼を積み重ねていく院は、制度がどう変わっても揺らぎません。
患者様が「来てよかった」と感じれば、自然と通い続け、家族や友人を紹介してくださる。
これこそ、改定に強い経営の形です。
農耕型経営の考え方は、こちらの記事でじっくりお伝えしています。改定対応の土台として、ぜひお読みください。
👉 整骨院の「農耕型経営」とは?回数券に頼らず地域で選ばれ続ける考え方
これから選ばれる院の特徴
柔整療養費改定の方向と農耕型経営を重ねると、これから地域から選ばれる院の特徴が見えてきます。
負傷原因をきちんと聞き、説明できる。
問診を大切にし、なぜこの施術が必要なのかを患者様の言葉で伝えられる。
一人ひとりを丁寧にみる。
部位数で稼ぐのではなく、必要な施術を必要なだけ。結果として基本料金の引き上げが追い風になる。
明細書や会計が透明で、説明がある。
お金の流れがクリアだから、患者様が安心して通える。
紹介で患者様が広がっていく。
広告に頼り切らず、信頼が次の患者様を連れてくる。(参考:これからの整骨院経営で強くなるのは、「紹介され続ける院」)
地域に根ざしている。
患者様の生活や人生に寄り添い、「この町にこの院があってよかった」と思われている。
どれも特別なことではありません。けれど、これらが積み重なった院は、制度が何度変わっても選ばれ続けます。
まとめ
2026年7月の柔整療養費改定は、「必要な施術は評価し、説明のつきにくい請求は抑え、患者様への透明性を高める」という国の方向性の表れです。
多部位や長期患者対応の見直し、明細書の毎回交付は、どれも「説明と信頼に基づく施術」を求めるメッセージだと読めます。
これは、私たちが大切にしてきた農耕型経営そのものです。
だから、信頼で患者様とつながり、紹介で広がり、地域に根ざしている院にとって、今回の改定は決して怖いものではありません。
むしろ、これまでの歩みを後押ししてくれるものです。
「自院の経営を、改定をきっかけに見直したい」——そう感じた院長先生は、ぜひ一度ご相談ください。現場目線で、一緒に整理します。
「うちの院は、これからどう構えればいい?」をご一緒に
吉田企画は、整骨院・治療院専門のコンサルティングとして、農耕型経営の考え方をベースに、改定後も地域から選ばれる院づくりをお手伝いしています。理想論ではなく、明日から現場で使える形でお伝えします。
















