2026年7月1日、柔道整復師の療養費(柔整療養費)が改定されました。「初検料が上がる」「多部位は2部位目から減算になる」——変更点を断片的に耳にしている院長先生も多いのではないでしょうか。
こんにちは。吉田企画の整骨院経営コンサルタント、伊藤樹里です。
吉田企画では、この改定について「保険改定シリーズ」として3本の記事で詳しく解説してきました。このページは、その3本を軸に、変更点・背景・対応チェックリスト・改定に振り回されない経営の考え方までを1ページでまとめて確認できる「まとめ記事」です。気になるところから読んでいただき、詳しく知りたいテーマは各記事へお進みください。
この記事でわかること
- 2026年7月改定で何が変わったのか(料金・算定ルール・多部位・明細書など)
- 厚生労働省がこの改定で目指している方向性
- 今からでも間に合う対応チェックリスト
- 制度が変わっても揺らがない整骨院経営の考え方
変更点ひと目チェック
2026年(令和8年)7月1日の施術分から、柔道整復師の療養費の算定基準が改定されました。厚生労働省の公表資料に基づく、特に現場への影響が大きいポイントは次のとおりです。
初検料 1,550円 → 1,560円
再検料 410円 → 420円
後療料(打撲・捻挫) 505円 → 550円
多部位(2部位目) 逓減なし(100%) → 80%に逓減(今回新たに導入)
多部位(3部位目) 60%に逓減 ※改定前から変更なし(据え置き)
明細書発行加算(旧:明細書発行体制加算) 月1回の体制加算 → 明細書を発行するたびに10円
とくに間違えやすい2点を補足します。
初検料・再検料の算定ルールも変わりました。他部位での施術を含め施術継続中である場合や、負傷の治癒・施術中止の翌日から起算して3か月以内に同一施術所で施術を行った場合(当初と異なる負傷・部位を含む)は、初検料を算定できません。一方、治癒・中止から1か月以上3か月以内に施術を再開した場合は、初検料に代えて連続する2回まで再検料を算定できます。再検料自体も、初検の日後の初回・2回目の後療日のみが対象で、3回目以降の後療では算定できません。
明細書は「毎回交付」が従来からの原則で、これは今回新しく始まったルールではありません。今回変わったのは、加算の名称が「明細書発行加算」になり、月1回の体制加算から「発行1回ごとに10円」の算定に変わったこと、月まとめ交付を希望する患者には所定の様式で意思確認が必要になったこと、明細書に負傷名または施術部位の記載欄が追加されたことです。
あわせて、長期・多部位の患者様については、直近12か月で通算8か月以上かつ通算9部位以上の施術を受けている場合に、保険者による重点確認の対象となる基準が新たに追加されました。該当後も同様の請求が続く場合、保険者が文書や面談で事実確認を行い、それでも施術の必要性の確認が必要と判断された場合に、償還払いへの変更通知が送付される仕組みです(変更は通知到達の翌月以降の施術から適用)。基準に該当した時点で即座に償還払いになるわけではありません。
それぞれの変更点の詳しい背景や考え方は、こちらでさらに詳しく解説しています。
▶ 【2026年7月改定】怖がらなくて大丈夫!整骨院経営はどう変わる?|保険改定シリーズ①
なぜこの改定なのか|厚生労働省が目指す方向
今回の改定が向かっている方向は、大きく3つに整理できます。
- 必要な施術は正当に評価する(基本料金の引き上げ、再検料の対象拡大)
- 説明のつきにくい請求は抑える(2部位目の逓減導入、長期・多部位患者への確認強化)
- 患者様への透明性を高める(明細書発行加算の見直し、負傷名・部位記載の追加)
吉田企画では、今回の改定を「一人ひとりの患者様を、根拠を持って丁寧にみる院が、より評価される方向への転換」と捉えています。制度の背景まで理解しておくと、次の改定にも振り回されにくくなります。
▶ 【2026年7月改定】厚生労働省が目指す方向とは?これから選ばれる整骨院経営|保険改定シリーズ②
今からでも間に合う!対応チェックリスト
施行から時間が経っていても、以下の項目はいつでも見直せます。自院の状況を確認してみてください。
- レセコン・会計システムが、明細書発行加算の新ルール(発行のたびに10円)に対応しているか
- 初検料が算定できないケース(3か月以内の再受療など)を、受付・施術者が正しく理解できているか
- 初検料・再検料・後療料を、新料金(1,560円/420円/550円)で運用できているか
- 自院の患者様が平均で何部位を算定しているか、一度集計してみたか
- 負傷原因がはっきりしている施術か、カルテに記録が残っているか
- 保険適用の施術と、保険適用終了後の再発予防・メンテナンスなどの自費施術について、対象・説明・料金・記録が明確に分けられているか
- ホームページ・Googleマップ・SNSの情報が最新で、地域から選ばれる発信になっているか
チェックリストの詳しい使い方や、各項目の考え方はこちらで解説しています。
▶ 【2026年7月改定】7月1日までに整骨院がやるべき5つの準備|保険改定シリーズ③
制度が変わっても揺らがない経営の考え方
保険改定は、これからも数年ごとに続きます。そのたびに振り回されるのか、変化に左右されない土台を持っているのか——この違いが、これからの院の明暗を分けます。
吉田企画が26年間大切にしてきたのは「農耕型経営」という考え方です。回数券や会員制で短期的に囲い込むのではなく、一回一回の施術で信頼を積み重ね、地域から選ばれ続ける経営を指します。今回の改定が向かっている方向(丁寧な施術の評価、透明性の重視)は、この農耕型経営の考え方と重なる、というのが吉田企画の見立てです。
あわせて読みたい関連記事はこちらです。
- 2026年7月、整骨院経営は「初検依存」から大きく変わります
- なぜ今、「2回目以降の継続設計」が整骨院経営で重要なのか
- 整骨院の「農耕型経営」とは?回数券に頼らず地域で選ばれ続ける考え方
- これからの整骨院経営で強くなるのは、「紹介され続ける院」
- 【2026年7月の整骨院経営戦略】保険改定の時代に、”説明できる整骨院”へ
「自院の場合はどうなる?」を一緒に整理しませんか
ここまでの変更点やチェックリストを踏まえても、「自院の場合、どこから手をつければいいかわからない」という院長先生もいらっしゃると思います。
吉田企画は、整骨院・治療院専門のコンサルティングとして、明細書まわりの実務から、都度払いの自費導線、ホームページ・Googleマップ・SNSの見直しまで、現場でそのまま使える形でお手伝いしています。ITが苦手な院でも大丈夫です。















