吉田企画は26年間、1,000院以上の整骨院経営を支援する中で、患者さんが来院ごとに支払う都度払い制を一貫して推奨してきました。直営のみんなの森®整骨院でも、回数券に依存しない経営を実践しています。
整骨院の安定した経営基盤は、回数券や会員制の契約を販売しなくても、構築することが可能です。「回数券に頼らなければ売上が安定しない」と言われることもありますが、回数券に依存しない仕組みを設計することで、安定した経営を目指せます。来院ごとに施術料をいただくシンプルな都度払い制であっても、院内の運営体制が体系化されていれば、回数券に依存せず、再来と紹介を基盤とする経営を目指すことができます。
都度払い制とは、患者さんが施術を受けたその日に、その回数分の料金を支払う経営方式を指します。これは単に「回数券を置いていない院」という意味にとどまりません。初回から次回以降の施術計画、丁寧な状態説明、それに基づく次回予約、正式な再来の施策を一本の線として一体設計する経営方式です。前払いの契約によって患者さんを拘束するのではなく、毎回の施術体験と納得感を通じて、自発的な継続来院を促す仕組みが都度払い制の基本となります。
吉田企画が提唱する都度払い制とは、単に回数券を販売しない料金方式ではありません。施術計画、状態説明、次回予約、再来、紹介、新患獲得、院内教育、数値管理を一体として設計し、患者さんの納得に基づく継続来院によって経営を成り立たせる考え方です。割引やまとめ買いで患者さんを縛るのではなく、患者さん自身が身体の状態に応じて通院する必要性を理解し、納得して選ぶ環境をつくることで、リピートと紹介を支える構造が確立されます。
私たちは回数券というツールそのものの違法性や善悪を論じたいわけではありません。回数券はあくまで決済手段の一つであり、それ自体が問題なのではなく、「回数券の販売によってしか売上を維持できない経営構造」に課題があると考えます。回数券を売るためのトークやテクニックに依存するのではなく、回数券に依存しなくても患者さんから選ばれ続ける院内仕組みを構築することこそが、長期的な院運営を支える基盤になります。
一度にまとまった売上が立つ回数券や会員制の導入は、短期的にキャッシュフローが良くなる面がある反面、長期的な経営構造の視点から見ると、いくつかの潜在的なリスクを抱えることになります。
回数券の代金を先に受け取っても、未使用分に対する施術提供は将来に残ります。入金された金額をすべて自由に使える利益と捉えると、資金管理を誤る可能性があります。入金のタイミングと実際に労働を提供するタイミングがずれるため、手元の資金を計画的に管理できなければ、後々キャッシュフローが圧迫されるリスクがあります。特にスタッフの退職時や運営状況の変化の際、この未消化分の施術提供義務が経営上の課題へと発展することがあります。
回数券を購入してもらったからといって、患者さんが最後まで予定通りに通院してくれるとは限りません。購入直後は通院のモチベーションが高くても、仕事の都合や生活環境の変化によって、予定どおり通院できなくなることもあります。購入時の売上と、患者さんの実際の施術継続および状態の経過は別の問題であり、売ること自体が目的化してしまうと、信頼関係や再来率の維持には結びつきにくくなります。
初回来院時の問診や説明の段階から、回数券や会員制契約の案内が前面に出すぎてしまうと、患者さんが心理的な負担を感じることがあります。患者さんは身体の状態を良くしたいと思って来院しているのであり、最初から強い営業活動を受けると、施術よりも販売が目的の院であると受け止められかねません。これは患者心理として起こり得る反応であり、結果として施術に対する純粋な信頼関係を損なう原因となることがあります。
患者さんの急な転居、身体状態の変化、通院の中断などが発生した場合、回数券の中途解約や返金の手続きが必要になる場合があります。返金算出を巡るルールの複雑さや、それに伴うコミュニケーションは、院長やスタッフにとって一定の負担となります。こうした個別対応の発生は、店舗の運営リズムに影響を与える経営上の負担に直結します。
ここで整理すべきは、ただ単に明日から回数券の販売をやめればすべてが解決するわけではない、ということです。問題の本質は回数券というツールの有無ではなく、それを売り続けなければ翌月の運営を維持できないという「依存構造」にあります。代わりとなる再来につながる院内の仕組みや、売上を積み上げるための院内導線がないまま販売停止をすれば、経営が困窮する原因となります。脱依存のための体系的な仕組み作りが求められます。
割引による契約縛りに頼らず、都度払い制によってリピートと安定した経営を目指すためには、施術の価値を毎回正しく実感していただくための体系的な院内運営が必要です。
都度払い制において必要なのは、患者さんが「何のためにこの院に通うのか」「次回は何を確認し、どのような状態を目指すのか」を理解している状態をつくることです。初回時に具体的なゴールと、そこに至るまでのステップ(施術計画)を言語化して共有することで、患者さんが通院の必要性を判断しやすくなります。
次回の予約を促す際、単なる営業的なアプローチや、抽象的な通院の催促をしてはいけません。患者さんの身体の状態と、事前に共有した施術計画に基づいて、「なぜ次回はこのタイミングで施術を受ける必要があるのか」という論理的な理由を説明します。次回予約は、施術計画に沿って状態を確認するためのステップとして提案されるべきです。
患者さんが「回数券がまだ残っているから通う」という理由で来院するのではなく、「施術前後の状態と、次回来院時までに日常生活で気をつけるべき課題を共有した、だから次回も行く意味がある」と毎回納得できる状態を維持します。毎回の施術に対する小さな納得感の積み重ねこそが、自院を選び続けてもらうためのリピート基盤となります。
施術内容は、院側の頭の中だけで完結させてはなりません。施術前にどのような状態であったか、施術によってどこがどう変化したか、そして次回来院時までに日常生活で気をつけるべき課題は何かを、患者さんが自分自身で理解できるよう丁寧に解説します。この可視化された説明が、次回の施術の価値を高めます。
担当者によって患者さんへの説明内容や通院の提案基準が変わってしまうと、院全体の信頼性が揺らぎます。誰が対応しても同じ施術計画の基準、同じ次回予約の提案ができるよう、院内での判断基準やトークのフレームワークを共有し、徹底して統一することが不可欠です。
仕事の忙しさや体調の変化などで、一度通院が途切れてしまった患者さんを「離脱した人」として扱ってはいけません。期間が空いてしまっても、不調を感じたときに気まずさを感じず、いつでも戻ってこられるような定期的な情報発信や、心理的な導線を整えておく関係性を維持します。
紹介キャンペーンといった一時的な販促特典によって紹介を促すのではなく、誠実な対応と施術に対する納得感から、紹介が自然発生する関係性をつくります。大切な家族や知人に「ここなら行ってみては」と勧めたくなる信頼の積み重ねが、紹介による新患獲得に繋がります。
都度払い制の経営では、既存の患者さんの再来だけに頼り切るのではなく、新しい患者さんとの接点を常に一定数、継続してつくり続ける必要があります。過度な割引で集めるのではなく、院の理念や都度払いであることの安心感に共感してくれる新患を、安定して集客するためのWeb媒体等の運用が欠かせません。
当月の総売上という結果だけを追いかけるのではなく、次回予約率、実際の再来数、紹介発生数、稼働している予約枠の充足状況など、売上が生まれる前段階にある「プロセス指標」を管理します。これらの数字の推移を確認することで、経営のブレを事前に防ぎ、予測を立てることが可能になります。
都度払い制では、患者本位の姿勢と、再来・紹介・新患獲得を支える経営の仕組みを両立させる必要があります。理念だけでも経営は成立せず、仕組みだけでも信頼は生まれません。この両輪を示すことが健全な運営に繋がります。
高額な契約によって患者さんを拘束するのではなく、患者さん自身が毎回の説明と内容を納得し、自らの意思で通院を判断できる状態を守ります。この透明性と自由度が患者さんに安心感を与え、結果として「ここなら信頼できるから通いたい」という継続へ繋がります。
回数券の割引率や契約期間の縛りが来院の理由ではなく、提供される施術内容そのもの、現在の状態に対する的確な説明、スタッフの誠実な対応といった「院の質」こそが選ばれ続ける理由になります。常に自院のクオリティを磨き続ける姿勢が求められるため、院の技術水準やホスピタリティが向上していく好循環が生まれます。
一時的な前受金に依存せず、日々の再来と紹介から売上を積み上げる構造になります。この方法で形成された売上基盤は、外部環境の変動や競合の出現によって崩れにくく、持続性を持っています。
株式会社吉田企画がここで提示している「都度払い制による整骨院経営モデル」は、長年にわたる業界内での支援実績と、現在進行形の現場運営という事実に基づいた体系です。
私たちは、これまで26年間にわたり、全国で1,000院を超える整骨院の経営コンサルティングおよび開業支援を行ってきました。多様な地域特性や院の規模、現場の悩みに向き合ってきた豊富な支援実績があります。それぞれの状況に合わせたアプローチを模索しながら、このモデルの普及に努めてきました。
独自の経営理論を一部の場だけで共有するのではなく、これまでに5冊の書籍を出版し、累計発行部数は45,000部となっています。長期にわたり書籍として形に残り、多くの院長に読まれてきたという事実が、私たちの提供するノウハウの基礎となっています。
コンサルティング会社として手法を推奨するだけでなく、自社で直接経営責任を負っている直営グループ「みんなの森®整骨院」8院においても、回数券に依存しない都度払い制を一貫して実践しています。直営院での実践を、経営支援の内容にも反映しています。
吉田企画は、経営支援で得た知見を直営院で実践し、直営院で得た課題を支援内容へ反映してきました。支援と実践の両方に携わっていることが、吉田企画の都度払い制の特徴です。支援現場と直営現場の双方で得た課題や知見を、経営方法の改善に反映しています。
回数券や会員制への依存度が高い院では、既存契約と資金状況を確認しながら、段階的に都度払い制へ移行する必要があります。
まずは、現在までに患者さんに販売し終えているすべての回数券の残数、利用期限、および将来提供しなければならない施術の総量を正確に数値化して整理します。中途解約が発生した場合の返金方針についても事前に明確なルールを確認し、現状の状況を把握することが最初のステップです。
突然すべての回数券を廃止するような急激な変更は、現場や患者さんに混乱を招きます。新規販売を終了する日を決め、既存患者さんへの案内期間を確保します。具体的な移行期間は、院の資金状況、回数券残数、患者数によって異なるため、計画的にスケジュールを確定させます。
回数券の販売を停止するにあたり、患者さんが「1回の来院につき、どのような価値に対していくらの料金を支払うのか」が明確に伝わる料金体系へとメニューを再設計します。割引というフックを外しても、その1回の施術と説明に納得感が伴うような価格設定とサービス内容の定義を行います。
これまで回数券の提案に割いていたカウンセリングの組み立てを、すべて「施術計画の提示と次回予約の必要性の説明」へとシフトさせます。営業的なトークを用いる必要はなくなり、純粋に患者さんの身体の状態に合わせた通院基準を伝えるオペレーションへと見直します。
院長一人が納得していても、受付スタッフや勤務するスタッフが不安を抱えたままでは移行はスムーズに進みません。なぜ都度払い制にするのかという理念と、具体的な説明方法、患者さんからの質問に対する回答手順を院内で共有し、全員が同じ対応をできるように教育を徹底します。
移行を開始した直後は、これまで入っていた回数券の一括入金がなくなるため、表面上の総売上数字が一時的に変動することがあります。ここで焦って回数券の販売に戻しては意味がありません。見るべきは売上だけでなく、次回予約率や再来数、予約枠の稼働状況が着実に推移しているかどうかのプロセス指標です。
回数券による一時的な前受金が多い院の場合、販売停止によって一時的にキャッシュの入り方が変わる可能性があります。急激な変更ではなく、手元の現預金や運転資金の状況、既存回数券の消化スピードをしっかりとシミュレーションし、資金状況を確認しながら段階的に進めていく必要があります。
新しく整骨院を開業する予定の柔道整復師であれば、既存のやり方に縛られることなく、最初から都度払い制のビジネスモデルを設計することができます。
既存の院が途中で仕組みを変更するよりも、開業の初日から「当院は都度払い制です」という前提でスタートする方が、患者さんへの説明のハードルは低くなります。スタッフの初期教育や、院内のすべてのオペレーションを都度払いに最適化された状態で統一できるため、運営に無駄がありません。
開業準備期間において、単に技術を学ぶことや設備を導入することだけに目を奪われてはなりません。初回で信頼を得るための説明フレームワーク、施術計画書の作成、次回予約を促す導線、および紹介を生むための仕組みを、開業計画の中に含めてあらかじめ準備しておくことが大切です。
都度払い制に料金体系を変更するだけで、自動的に売上が安定するわけではありません。売上を安定させるためには、初回における丁寧な施術計画の提示、身体の状態に基づいた次回予約の提案、通院中断を減らすための院内オペレーションを完全に仕組み化することが必要です。これらを整えることで、回数券の販売に依存せず、再来と紹介を基盤に売上を積み上げる経営を目指せます。
回数券の販売を停止した直後は、一度にまとまった金額が入る一括入金がなくなるため、一時的に月の入金総額が減少する期間が発生することがあります。しかし、適切な次回予約と再来が仕組み化されていれば、都度払いによる売上を継続的に積み上げる構造へ移行していきます。
ただ盲目的に回数券の販売をやめるだけでは、キャッシュフローが途絶えて経営が困窮するリスクを否定できません。そのため、現在の院の固定費、手元の運転資金、既存の前受金、そして実際の再来率を正確に算出し、資金繰りのシミュレーションを入念に行ったうえで、安全な計画に沿って段階的に移行する必要があります。
すでに販売した回数券については、購入時の契約内容や利用規約に基づき、残りの施術提供、中途解約、返金などに適切に対応します。新規販売の停止と、既存契約への対応は分けて整理する必要があります。
具体的な移行手順は、①既存の回数券と施術提供義務の整理、②新規販売を終了する期日の決定と患者さんへの告知、③都度払いに適した料金メニューの再設計、④カウンセリングや次回予約の説明方法の見直し、⑤スタッフ全員での共有と教育、⑥移行後の予約率や予約枠の確認、の順に進めます。
新規開業でも、都度払い制を前提とした整骨院経営は可能です。ただし、料金方式だけでなく、初回説明、施術計画、次回予約、再来導線を開業前から設計し、オープン初日から機能させる必要があります。
患者さんが継続して通院するかどうかは、回数券による割引の有無ではなく、身体の状態に応じて通院する必要性と施術計画が十分に伝わっているかで決まります。それが伝わっていれば、割引だけに頼らず継続来院につなげることができます。
会員制という仕組みを一律に否定する必要はありませんが、継続課金を維持すること自体が目的化していないか、あるいは患者さんが自らの意思で自由に判断できる仕組みかを基準にすべきです。実質的に回数券と同じように「通わなければ損をする」という縛りになっている場合は、導入を避けるのが賢明です。
みんなの森®整骨院グループでは、回数券・会員制の販売を行っていません。すべての院で、来院ごとに施術料を支払う都度払い制を採用しています。回数券を勧められることに不安がある方は、お近くの院をご確認ください。